防虫対策
防虫対策について
一般的には衣類を食べて成長する害虫がいます。特に、外出時等で衣類に虫の卵を産み付けられ、
その卵がタンスやクローゼットの中で孵化して虫食いを受けるケースが多いです。
その様な虫食いの被害を防止し、衣類を長く楽しむための防虫対策について紹介します。
○ 虫食い被害に遭うケースとは
☆ 衣類害虫の好物について
衣類害虫が好む衣類は、繊維が毛(ウール)や絹(シルク)など
いわゆる動物繊維が使用されている衣類です。動物繊維が好まれる
理由は繊維の中のタンパク質が含まれており、それが衣類害虫の栄養源だからなのです。
また、衣類に食べこぼしのシミや汗等が付着していると、
それらも衣類害虫の栄養源となり、その他の繊維(綿や麻等の植物繊維や合成繊維類)
も被害を受けることがあります。
☆ 衣類害虫が好む環境について
衣類害虫は、春から夏の終わりまでの暖かい季節に、暗い場所で
通気性が悪く湿気の高い場所を好み活動します。
ただでさえ高温多湿な気候の日本においては、世界的な地球温暖化による
気温の上昇や、エアコンの普及による冬場での密室性の高い
クローゼットを用いるなどにより、衣類害虫の住みやすい環境が
益々整ってきています。
そして、最近では気密性の高い建築構造を持つマンションの普及により、
住人にとっては通気性や室内温度の観点からしても、特に一年中
注意が必要な環境に置かれていると考えていた方が無難だと言えます。
☆ 食害量と温度や湿度との関係について
食害量と温度との関係をみると10℃以下での食害は殆どみられず
15℃以上になると目立つようになり、20℃以上で顕著になります。
湿度と食害量との関係をみると、10%以下での食害は少なく、30%で
顕著になり食害のピークは50%~80%で90%以上になると少なくなります。
以上のことから目安として、下記の環境下では注意を要すると言えます。
温度 25〜30℃
湿度 50〜80%
☆ 衣類害虫の正体について
衣類を食べる害虫には、カツオブシムシ類やイガ類がありますが
成虫は衣類を食べることがありません。実は幼虫が衣類を食べます
しかも、この幼虫時期が年間を通して【長い】といった特徴があります。
☆ 害虫から衣類を守る方法について
防虫対策のポイントは、害虫の好む環境を作らないこと!
つまり衣類に対し害虫が嫌がる環境を整えてあげることです。
★ 日頃のお手入れについて
羊毛(ウール)などの動物繊維が用いられた衣類は必ずクリーニングに出し、
しっかり汚れ、シミを落とすこと。
植物繊維や合成繊維が用いられた衣類でも食べこぼしや汗のシミなどに
気を使い、しっかり汚れ、シミを落とすこと。
★ 収納について
クローゼットに収納する場合は、通気性も悪く湿度の高いため、
少なくとも除湿剤を用いること。
クリーニング直後の衣類には仕上げ等で使った蒸気による湿気を含んで
いることがあるため、収納の前にはクリーニングのビニールから出し
風通しの良い場所に数時間吊るしてから収納すること。
防虫剤を正確に使用すること。
☆ 防虫剤の正しい使用方法について
防虫対策は、市販されている防虫剤を用いることが広く知られていますが
どれも同じという訳ではありません! 使用方法を誤ると思わぬ結果を
引き起こす場合もあるので、注意が必要です。防虫剤には、
「パラジクロルベンゼン」「ナフタリン」「しょうのう」「ピレスロイド系」の
4種類に分けられます。
防虫剤名 | 特徴 | 避けたい製品 | ||
パラジクロルベンゼン | 揮発性が高いので効果が早い |
金糸、銀糸、ラメ製品 スチロール樹脂の付属品や 人形類、合成皮革 |
||
ナフタリン |
効果はゆっくりしているが 持続性があるのが特徴 |
合成皮革製品 | ||
しょうのう |
穏やかな効き目であり 絹製品などにも適している |
金糸、銀糸等との接触に注意 | ||
ピレスロイド系 | 臭いがつかないことが特徴 | 真ちゅう等の銅合金の付属品 |
★ 使用の注意点
2種類の防虫剤を同時に入れると液化して、衣類にシミをつくったり
衣類の染料が溶解したりしますので注意が必要です。
★ 収納での注意点
防虫剤は衣類の詰め込み過ぎはしわや型崩れの原因となったり、
防虫剤の効果が半減したりしますので少々ゆとりをもたせて下さい。
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